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映画・文学評および雑記

メモアール

10年前住んでいた街に出かけた。今日はそこで大学の同窓会があったのだ。正直言って気のすすまない会だったが、その駅に降り立った途端、そこで暮らしていた19の頃を思い出した。よく通っていた豆腐料理の店とか、ビルの上の図書館とか、当時好きだった男の子と駅前の広場で偶然会ったこととか。
彼とはその偶然会ったことが縁となり、それから何度かデートしたが、けっきょく私よりももっと魅力的な女の子が彼の前に現れたので、自然と連絡がつかなくなってしまった。
その5年後、友人の結婚式でまた偶然彼と再会した。彼はもうすっかり他人の顔で「ご記帳お願いします」なんていうので、私の方でもそれに調子を合わせて「はい」といってやった。そのとき結婚式を挙げた友人というのが、今日の会の発起人なのだ。
今日の会には彼は来なかった。
来なかったからどうというわけでもない。ただ、私も上京してもう10年になるのかと思っただけだ。友人は2人の子どもの父となり、私は相変わらず何者でもない。
うちに帰ると、頼んでいた資生堂の香水が届いていた。ばらとヘリオトロープの香水だ。「メモアール」という。

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